2011 春 塾長のひとこと   高校進学前の春「論理と集合」をしっかり学んでおこう


 NHKの番組「ハーバード白熱教室」が、昨年来話題になっています。
『Justice』という本の著者サンデル教授が、千人もの学生の前で、「社会正
義とは何か」という哲学の議論を格調高く展開します。その中で、この教授が
次のように語りかける場面があります。
「○○○は□□□であるための必要条件である。が、はたして十分条件にもなっているであろうか?」日本語の会話では、まず使わない言い回しですが、数学ではよく使い
ます。少し長く言いかえると、「□□□であるからには必ず○○○という性質
をもっている。だから○○○でないものは対象外。しかし、逆に○○○である
からといってそれがすべて□□□という性質をもつだろうか?」となります。
講義の中では○○○や□□□には、哲学者ベンサムやカントがもちいた「善」
とか「道徳的」とか「正義」などの言葉が入ります。
ところで、高校の数学の教科書や問題解説で、出てきた答えのあとで「逆に
…」という部分がつけ加わることがあります。これは導かれた結果はまだ必要
条件にすぎず、逆に十分条件になっているか、つまりそれらはすべて解なのか
をチェックしているわけです。必要条件を満たすものの中には十分条件になっていないものが含まれているのが普通です。私の経験では、優秀な高校生でさえここの議論
をよく理解していません。「必要・十分」以外にも「かつ・または」「すべて
の・ある」「ではない」「対偶」「背理法」などの論理用語を使いこなせなけ
れば数学の議論にはついていけないのです。論理は正確に議論をはこぶための
人類共通の思考のルールで、若いうちにしっかりと意識すべきものです。更に
論理は集合と表裏一体のものとして理解すると万全です。さすがハーバードの
学生たちは文系、理系を問わず「論理的思考」に慣れているので、論理用語を
ごく自然に使いこなすのでしょう。
東京ゼミでは、やる気のある新高1生に対して、毎年この春休みの7日間、
しっかりと「論理と集合」の基礎を学ばせ、高校の数学に備えさせています。
もちろん、中学生や高2、3生も大歓迎です。







 


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