2011 夏 塾長のひとこと   3・11 大震災に思う


3月11日の午後3時過ぎ、長い長い揺れがおさまったところで、外に出てみると、
信号機は消え、周囲の瓦屋根は崩れ、ただならぬ規模の地震だとわかりました。しば
らくすると、「大津波警報」という大きな声がくり返し流れてきて、いよいよこれは
大事態が起こりつつあるのだとわかりました。
今を去る1100年以上も昔の平安時代初期に東北地方太平洋岸をおそった大津波のこ
とが『日本三代実録』という、3代の天皇の治世を記録した文書にあるそうです。編
者の一人があの天神様として祀られている菅原道真公ですから大昔です。2年ほど前
の地質調査から当時の津波により海岸線から内陸へ5q付近まで土砂が運ばれてきた
のがわかっていました。そして、それが約1000年周期でおそってくるらしいともわ
かりはじめていました。こうしてみると、現代に生き、そして生き残った私たちは
1000年に1度の大津波を目撃したことになります。
仙台市若林区の霞目飛行場の脇に「浪分神社」というお宮があります。「浪」とい
う字は今なら「波」とかく津波の浪です。津波がここまで来るぞという、いにしえの
人々が後世に残した警鐘ではないかとも言われているそうです。しかしあまりにも時
がたってしまい、地元には津波の話しは伝わっていないとのことです。
私たちは後世に何を残せるでしょうか?荒れはてた海岸に立って思いました。この
大地震を乗りこえ生活を再建してゆく過程そのものこそが、後世に残せる何かではな
いでしょうか。

 


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