2016 春 塾長のひとこと 重力波ついに検出!


 最近、天文学の分野で次々と新しい成果が発表されています。冥王星の至近距離からの画像撮影成功、太陽系第9番目の惑星の存在予言、そして何といっても重力波の検出についに成功の大ニュースがありました。

 一昨年NHKの番組「コズミック・フロント」で、実験係の物理学者の長年の夢である重力波の検出に取り組む日本・アメリカの研究者が紹介されていました。それが今年2月11日にアメリカでついに検出に成功したと発表されたのです。

 重力波とは連星中性子性やブラックホールといった非常に重たい物体同士の衝突・合体によって顕著に現れる時間・空間のさざ波だそうです。科学の巨人アインシュタインによってその存在が100年も前に予言されていましたが、検出が困難で誰も成功していませんでした。なにしろ水素原子の数万分の1程度という途方もなく小さな波をとらえなければならないと考えられているからです。それがついに検出成功したというのですから本当に大ニュースなのです。今後世界の別の場所でもあちこちで重力波の検出が相次げばその存在が確定的になり、一般相対性理論の正しさがいよいよ確実になり、光や電波では見ることができない現象を観測する新しい天文学(重力波天文学)が生まれるということです。

 日本ではニュートリノに重さがあることの証拠を発見した業績でノーベル物理学賞を受賞した梶田教授が率いる重力波望遠鏡「かぐら」がほぼ出来上がり、昨年暮れから試運転を開始したところでした。この装置はなんと水素原子の10億分の1の大きさを検出できるそうで、世界一の性能を持っています。だからほんのわずかの差で日本が重力波検出世界初という栄誉を逃してしまいました。こちらまでわくわくしていたのですが・・・。

 スポーツや経済だけでなく研究の世界でも世界初を競う競争があるのですね。でもたった一度しかない人生を科学の世界にどっぷりと浸かって生きられることはほんとにうらやましいですね。
 

 


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